一般接見のルールとは? 弁護士に接見を頼むメリットはある?

2021年01月12日
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一般接見のルールとは? 弁護士に接見を頼むメリットはある?

「家族が逮捕された……」

まさかの事態が起こったとき、多くの方はまず当人と話をしたいと思うでしょう。逮捕容疑は事実なのか、どうしてこんなことになったのか、聞きたいことはたくさんあるはずです。

ところが逮捕されると警察の留置場や刑事施設である拘置所に入るため、自由に外部と連絡できなくなります。話をするためには「接見交通権」という制度を使わなければいけません。

では接見をする際にはどのようにしたらいいのでしょうか? ベリーベスト法律事務所 立川オフィスの弁護士が詳しく解説します。

1、接見交通権とは?

「接見」という言葉には「身分の高い人が公式に会見する」という意味がありますが、刑事事件に関して使う場合には意味が違ってきます。まずは接見交通権の基本的な内容についてご説明します。

  1. (1)接見交通権とは

    接見交通権とは、身柄の拘束を受けている被疑者(容疑者)および被告人が、弁護人または弁護人になろうとする者と立会人なくして接見し、または書類もしくは物の授受をする権利のことです。

    刑事事件では、逮捕され身柄を拘束されると、自由に外出したり外部と連絡を取ったりすることはできなくなります。その期間は逮捕・勾留から起訴されるまで、最大23日間続く場合があります。さらに、起訴された後も勾留が続けば、裁判が終わるまでと長期間に及ぶこともあります。

    外部との交流が絶たれた状態が続くと、被疑者や被告人が精神的なストレスを感じたり、必要な情報を得ることができず、不利益を受けたりするかもしれません。そのため面会や物品の差し入れなど、外部との交流が一部認められているのです。(刑事訴訟法第39条第1項)

    この権利を「接見交通権」といいます。

  2. (2)接見の種類・対象者

    接見は接見交通権のほかにも、一般接見があります。一般接見は、家族や友人・知人との面会のことです。
    ただし事件の内容によっては、裁判所の判断により家族や友人との接見が禁止されることがあります(刑事訴訟法第81条)。

    同じ接見でも、一般接見と接見交通権では条件が大きく異なります。これらについては後段で詳しく説明します。

2、一般接見のルール

友人や知人が面会する一般接見には、さまざまな制約があります。実際に接見に向かう前に、まずは確認しておいてください。

  1. (1)日時、時間、人数の制限

    警察署にもよりますが、一般的な面会の日時や時間、人数は次のように制限されています。

    • 受付は平日の9時半〜16時
    • 1回につき15〜20分程度
    • 1日1回、1組(3人まで)


    たとえば午前中に友人が面会してしまっていると、同じ日の午後に家族が行っても面会はできません。また取り調べの最中などにあたってしまった場合は、しばらく待たされることがあります。

  2. (2)逮捕後72時間は面会不可

    逮捕されると検察に送致され、検察官が必要に応じて裁判所に勾留を請求します。

    この勾留が決まるまでの時間は最大で72時間以内と定められており(刑事訴訟法第205条第2項)、弁護士以外は接見できません。

  3. (3)立会人が同席

    一般接見では、必ず立会人である警察官が同席します。

    会話の内容をすべて聞かれて記録されることになるため、プライベートな話はしにくいかもしれません。

    また事件に関する話題は禁止されています。指示に従わなければ面会が打ち切られることがあるため、注意が必要です。

  4. (4)接見禁止になることがある

    上記の72時間を過ぎても、逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合には、裁判所の判断により一般接見が禁止されることがあります(刑事訴訟法第81条)。具体的には、次のような事情がある場合は、接見禁止になることが多いです。

    • 逃亡のおそれがある
    • 犯罪が重大である
    • 証拠隠滅のおそれがある
    • 組織犯罪である
    • 共犯者がいる


    たとえば、捜査機関が証拠を確保していないときは、家族に頼んで証拠を隠滅させる可能性があります。また組織犯罪の場合には、組織のメンバーと面会して口裏合わせをしたり、証拠を隠したりすることも考えられます。

    そのため、逃亡や証拠隠滅が行われないよう、裁判所の判断で一般接見が禁止されることもあるのです。

    なお、接見禁止期間については法律に上限の定めはありません。起訴されるまで接見禁止処分が続くケースが多いですが、共犯者がいるケースでは起訴後も続くことがあります。

3、弁護士が接見するメリット

一般接見には制約が多いのですが、弁護士による接見交通権にはほとんど制限がありません。また法律の専門家でもある弁護士に依頼することには、さまざまなメリットがあります。

  1. (1)面会の日時や回数に制限がない

    一般接見の場合、逮捕から72時間は面会できませんが、弁護士は逮捕直後から面会できます。

    日時や回数にも制約がないため、夜間・早朝・土日、いずれも面会可能です。また1日の接見回数や、接見時間にも制限はなく、一部を除き、差し入れも自由となっています。

  2. (2)接見禁止期間中も接見できる

    裁判所から接見禁止処分が出ていた場合、家族や友人との接見はできません。しかし、接見交通権は法律で保障されているため、弁護士とであれば面会できます。

    逮捕・勾留されたうえに家族にも会えないと、被疑者は大きな不安を抱えるはずです。勾留生活や取り調べで精神的に疲弊してくると、やってもいないことをやったと言ってしまうおそれもあります。

    しかし、被疑者の味方である弁護士と話をすれば大きな安心となり、精神的に追い込まれるのを防ぐことが期待できます。

    また家族とのメッセージのやりとりを代行できるので、被疑者にとっても家族にとっても大事なコミュニケーションの機会となるはずです。

  3. (3)立会人が不要

    家族や友人が面会する場合には必ず警察官が立ち会いをしますが、弁護士の場合には警察官の立ち会いはなく、被疑者と弁護士だけで話すことができます(秘密交通権ともいいます)。また事件に関する話題も許されています。

    会話内容を警察に知られないため被疑者も緊張せず、話しにくいことや秘密にしておきたいことも会話が可能です。

  4. (4)取り調べに対するアドバイスができる

    取り調べの際は供述調書が作成されますが、発言とは違うことが記載されていても、署名押印してしまえば発言したと認めたことになってしまいます。

    そうなると起訴・不起訴の判断に大きく影響し、後々の裁判でも不利益を受けるかもしれません。特に容疑を否認している場合は注意が必要です。

    弁護士は発言とは異なる内容の調書とならないよう、接見を通して取り調べの内容を確認し、状況に応じて調書への署名拒否や黙秘などについてアドバイスします。

    また不起訴処分の獲得や裁判のために、被害者との示談についても提案し、被害者との間に入ります。

4、刑事事件は早期に弁護士へ相談を

ここまでご説明したように、接見を弁護士に頼むことには多くのメリットがあります。また次のような点から、早期に相談することが重要といえます。

  1. (1)刑事事件はスピーディーな対応が重要

    有罪判決を受けると前科がつき、執行猶予のない懲役刑となれば刑務所に収容され、その後の人生が大きく変わります。

    そのため、そもそも勾留されないこと、不起訴処分を受けることが、重要です。

    逮捕直後から弁護士に依頼すれば、弁護活動により勾留を避けられることがあります。そのためにも、勾留が決まるまでの72時間での対応が非常に大切です。

    また勾留が決定したとしても、早めに被害者との示談を進めるなどの対応ができれば、不起訴処分を得られる可能性があります。不起訴処分とは、嫌疑不十分・起訴猶予・告訴取り下げなどの理由で起訴をしないと決定することで、不起訴となれば裁判は開かれず、前科もつきません。

  2. (2)接見禁止の一部解除を申し立てることができる

    接見禁止処分に対しては、裁判所に一部解除を申し立てることが可能です。認められれば、家族のみなど、限られた人とだけ接見できるようになります。

    これは被疑者にとっても家族にとっても、大きな安心につながるはずです。

    接見禁止の一部解除は法律に基づく制度ではありませんが、弁護士は接見を禁じる必要性がないことをしっかりと主張し、一部解除を目指します。

5、まとめ

刑事事件や少年事件で家族が逮捕されると、本人はもちろん、家族も大きな不安を抱えることになります。「これからどうなってしまうのか」と思い悩まれることもあると思いますが、対応を迷っている時間はありません。すぐにベリーベスト法律事務所 立川オフィスにご相談ください。

刑事弁護では初期対応が肝心です。ご相談を受けてすぐ弁護士が接見などの対応を行い、早期釈放や不起訴処分の獲得に向けて全力でサポートします。電話での相談は無料ですので、どうぞためらわずにご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています