【後編】未成年の息子がオレオレ詐欺で逮捕。早期に弁護士を選任すべき理由6つ

2019年06月25日
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【後編】未成年の息子がオレオレ詐欺で逮捕。早期に弁護士を選任すべき理由6つ

立川市でも、オレオレ詐欺事件は絶えません。警察や役所などでも、常時注意喚起している状態です。オレオレ詐欺は子どもが知らず知らずのうちに組織の末端として利用されてしまうケースがあります。しかし、いくら知らなかったとしても、逮捕されれば罪が問われてしまう可能性があるのです。

そこで前編では、オレオレ詐欺の概要や、未成年の子どもが逮捕されたときの流れについて説明しました。後半でも引き続き、立川オフィスの弁護士が、未成年の子どもがオレオレ詐欺容疑で逮捕されたとき、依頼を受けた弁護士が担う役割と、弁護士の選任方法について解説します。

3、オレオレ詐欺で逮捕の際に弁護士が担う6つの役割

ここでは、オレオレ詐欺などで逮捕されたとき、弁護士が被疑者に行う6つの役割についてご紹介します。

  1. (1)接見で適切なアドバイスができる

    逮捕されたときには原則として家族は子どもと面会できません。弁護士のみが自由な接見を許されています。したがって、家族からの伝言や差し入れなどを渡すのは弁護士の役割となるでしょう。事件を起こしてしまった子どもに対して、気持ちを落ち着かせる言葉をかけ、今後の流れなどをわかりやすく説明して供述の方法などもアドバイスします。逮捕された子どもは、自分がこれからどうなるのか、誰が味方なのか、何をすればよいのかがまったくわからない状態です。そんな中、弁護士は子どもにとって唯一の味方になる存在となるでしょう。

  2. (2)うその自白を未然に防げる

    オレオレ詐欺では状況を知らずに加担しているケースが少なくありません。しかし、「まさか現金だとは思わなかった」と子どもが主張したとしても、警察や検察が聞き入れない状況がしばしば起こります。大人でも、犯していない罪を認めてしまうことがあるほど警察の取り調べは厳しいものになるケースが存在します。したがって、弁護士がしっかりと方針を示し、精神的なサポートを行うことで、不利な自白をしないよう働きかけることができます。また、弁護士が直接捜査機関に対して厳しい追及をしないよう働きかけることも可能です。

  3. (3)示談交渉を行える

    少年事件では、全件送致が原則です。したがって、示談交渉をしたとしても審判を回避できるとは限りません。しかし、被害者と示談し、被害者に謝罪していることは審判の結果に大きく影響します。示談が完了していることが有利に働き、少年院などに収容されることがなければその後の人生に大きな影響を残さないようにすることも十分可能です。

  4. (4)弁済の計画が立てられる

    オレオレ詐欺で子どもが受け子や出し子の役割だったときには、被害金額を弁済する必要があります。被害者が示談を望まないときでも、多くの場合、金額の弁済は応じてくれることでしょう。

    多額になるときには、一括で支払うことができないかもしれません。それでも弁護士が弁済の計画を立てて主張すれば保護観察処分などの、身柄を拘束されない処分が下される可能性があります。

  5. (5)観護措置の回避を働きかけることができる

    少年事件での観護措置とは少年鑑別所などで、心理状態や犯行に至った環境などを分析する処置です。刑罰的なものではなく、子どもの更生のために行われるものですが、身柄が最大4週間も拘束されるため、仕事や学校への影響が甚大になりかねません。

    弁護士に依頼すれば、観護措置が必要ないことを働きかけることができます。

  6. (6)学校や職場の環境を整える

    少年事件の場合、逮捕された時点で退学や懲戒解雇などの処分を受ける可能性があります。しかし、弁護士が間に入ることで、学校や職場に、子どもの犯した罪を説明した上で、学校や職場で受け入れられることが更生には必要であることや、深く反省していることなどを伝えて、処分を軽くしてもらえるようにお願いすることが可能です。
    また、これらの諸事情を証拠として関係機関に提出し、少年に有利な結論になるよう説得的に論証することができます。

    また、審判の処分を軽くするために、学校や職場に受け入れ態勢があることを主張することも可能です。

    このような活動によって、軽い処分となる可能性がどんどん高まります。

4、オレオレ詐欺の解決に向けて! 弁護士の選任方法とは

最後に、オレオレ詐欺を早急に解決するためにも、適切な弁護士の選び方について知識を深めておきましょう。

  1. (1)知らない弁護士に要注意

    子どもがオレオレ詐欺で逮捕されたとき、家族が知らない間に弁護士がついていることがあります。適切に選定された弁護士であればよいのですが、詐欺グループが選んだ「私選弁護人」である可能性があり、子どもにとって最適な弁護をしてくれない可能性があります。むしろ、組織の利益だけを実現しようとして、末端の少年に殊更に不利になるような弁護活動をする可能性すらあるのです。

    最終的に私選弁護人を選ぶのは被疑者本人です。子ども自身が知識のないまま「この弁護士でいい」といってしまう可能性もあります。このような事態を避けるためにも、オレオレ詐欺などで子どもが逮捕されたときには、家族が早急に情報を集めて、刑事事件・少年事件に対応した経験が豊富な私選弁護人を依頼しましょう。

  2. (2)国選弁護人の制度とは

    費用の関係で私選弁護人を頼めないときには、国が選ぶ「国選弁護人」を請求できます。国選弁護人は原則として、勾留が決定したあとに依頼できます。

    つまり、逮捕後72時間の孤独な時間に、国選弁護人をつけてもらうことはできませんし、一番重要である逮捕直後の早期に行うべき弁護活動には何ら対応できません。したがって、できるかぎり逮捕直後に弁護士を選定することを強くおすすめします。
    もちろん、弁護士の活動は早ければ早い方が望ましいので、捜査機関から疑われて逮捕されそうな状況である場合でも、弁護士に依頼する方が良いです。

5、まとめ

今回は、未成年の子どもによるオレオレ詐欺の量刑や逮捕後の流れから、弁護士が担う6つの役割と適切な弁護士の選び方について説明しました。

早急に弁護士が対応を行い、事実関係をはっきりさせれば、穏やかな処分となる可能性があります。万が一、オレオレ詐欺で子どもが逮捕される事態が起きたときには、少しでも負担が減るように早い段階でベリーベスト法律事務所・立川オフィスで相談してください。スピード対応で、子どもの将来に大きな影響を残さないよう、力を尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています