飲酒運転で逮捕された場合の量刑や逮捕後の流れについて立川の弁護士が解説

2019年11月06日
  • 交通事故・交通違反
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飲酒運転で逮捕された場合の量刑や逮捕後の流れについて立川の弁護士が解説

近年、飲酒運転による悲惨な事故の報道をよく耳にすると思います。
少しくらい大丈夫と思っていても、飲酒運転は、重大な事故につながり得、さらに重い罪にも問われ、人生を狂わせかねません。そこで今回はベリーベスト法律事務所 立川オフィスの弁護士が飲酒運転をした場合、どのような処分に問われるのかなど、解説します。

1、飲酒運転とは

飲酒運転とは、アルコールを摂取して運転することを言います。道路交通法上の飲酒運転は「酒気帯び運転」「酒酔い運転」に分類されており、どちらも違法です。ここでは、酒酔い運転と飲酒運転の違いや、飲酒後何時間経過すれば問題なくなるか、などを解説します。

  1. (1)酒気帯び運転

    酒気帯び運転とは、アルコール検知器による検査で、呼気中アルコール濃度が0.15mg/リットル以上の状態での運転をいいます。

  2. (2)酒酔い運転

    酒酔い運転とは、呼気中のアルコール濃度とは関係なく「アルコールの影響により正常に運転できるかどうか」で判断されます。すなわち、お酒に酔っている状態で運転すれば、酒酔い運転になります。お酒に酔っているかどうかは、直線の上をまっすぐ歩けるかどうか、質問に対する受け答えをきちんとできるかなどによって確認されます。

    明らかに泥酔していて、警察官との会話もままならず、まっすぐ歩けないようであれば酒酔い運転とみなされる可能性があるでしょう。
    酒気帯び運転と酒酔い運転の違いは、アルコール濃度ではなく「アルコールの影響をどれだけ受けているか」によりますので、呼気中のアルコール度数が低くても、酒酔い運転と判断される可能性もあります。

  3. (3)飲酒後何時間まで飲酒運転の扱いになるのか?

    飲酒から何時間経てば体内のアルコールが抜けるかは、個人の体質や摂取したアルコール度数に左右されますので、一概にいうことはできません。中には、飲酒から12時間以上経過してからも、体内にアルコールが残っており、飲酒運転で逮捕される方もいらっしゃいます。

    旅客機のパイロットは、アルコールの影響が業務に出ることを避けるため、前日の飲酒は禁止されています。
    飲酒した翌日以降の運転も、場合によっては、体内のアルコールが抜けておらず、飲酒運転となってしまう恐れがあることは覚えておきましょう。

2、飲酒運転の罰則

飲酒運転した場合には、法律上、免許停止や違反点数の加算などの行政処分と、懲役や罰金などの刑事罰が課されることになっています。また、お酒に酔って運転した者だけではなく、運転者がお酒を飲んでいると知りながら車両を提供した者や、同乗した者、運転しそうな人に酒類を提供した者にも罰則が適用されます。

  1. (1)車両を運転した者

    ア 行政処分
    (ア) 酒酔い運転
    呼気中のアルコール濃度によって、違反点数が異なります。0.15mg/リットル以上0.25mg/リットル未満の場合には、違反点数が13点加算され、90日間の免許停止となります。呼気中アルコール濃度が0.25mg/リットル以上の場合には、違反点数が25点加算され、免許の取り消しに加えて欠格期間が2年となっています。欠格期間とは、免許を再度取得することができない期間のことです。呼気中のアルコール濃度が0.25mg/リットル以上の場合は、免許取り消しの処分を受けてから、2年間は再度の免許取得ができません。
    (イ) 飲酒運転
    違反点数35点が加算されて免許は取り消し、欠格期間は3年です。
    イ 刑事罰
    (ア) 酒酔い運転
    5年以下の懲役、または100万円以下の罰金に処せられます。
    (イ) 酒気帯び運転
    3年以下の懲役、または50万円以下の罰金に処せられます。

  2. (2)車両を提供した者

    ア 運転者が酒酔い運転をした場合、車両を提供した者は、5年以下の懲役、または100万円以下の罰金に処せられます。
    イ 運転者が酒気帯び運転をした場合、車両を提供した者は、3年以下の懲役、または50万円以下の罰金に処せられます。
    飲酒運転をした方と同等の罪に問われることになります。

  3. (3)酒類を提供した者または同乗した者

    ア 運転手が酒酔い運転をした場合、酒類を提供した者または同乗した者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。
    イ 運転手が酒気帯び運転をした場合、酒類を提供した者または同乗した者は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。

  4. (4)飲酒運転中の事故と自動車保険の適応について

    飲酒運転で交通事故を起こした場合、自動車保険の一部の補償は受けることができません。具体的には対物賠償責任保険、対人賠償責任保険などの「被害者に対する賠償」の部分は、自動車保険が適用されます。しかし、人身傷害保険や車両保険、搭乗者傷害保険などの「自分自身に関わる補償」については対象外となりますので、自分自身の怪我や車の修理代は自費で支払わなければなりません。

    また、飲酒運転で事故を起こした場合は次年度の自動車保険の契約が難しくなりますので、更新日前に新しい自動車保険会社を探しておくことをおすすめします。

  5. (5)飲酒運転中に事故を起こした場合の刑罰

    酒酔い運転や酒気帯び運転の状態で、交通事故を起こした場合、重い刑罰が適用される可能性があります。

    自動車の運転上必要な注意を行い、人を死傷させた場合、自動車過失致死傷罪が成立し得、7年以下の懲役、もしくは禁錮、または100万円以下の罰金が科せられます。

    また、アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で運転した場合、危険運転致死傷罪が成立し得、被害者が死亡した場合には1年以上20年以下の有期懲役、負傷の場合でも15年以下の懲役が科せられます。

3、逮捕後の流れや裁判について

次は飲酒運転で逮捕された場合の流れについて解説いたします。

  1. (1)逮捕

    逮捕されると警察署内の「留置所」に身柄を拘束され、警察官や検察官による取り調べや捜査が行われます。逮捕は最大72時間まで身体を拘束する手続きで、その間は原則家族にも面会することができません。弁護士であれば常に接見可能です。弁護士は「当番弁護士」もしくは「私選弁護士」を呼ぶことができます。
    当番弁護士とは、無料で1回だけ呼べる弁護士で、取り調べのアドバイスや今後の流れなどの説明を受けることができます。私選弁護士とは、弁護士費用を自分で支払い、委任する弁護士のことで、身柄拘束からの解放のために活動してくれます。

  2. (2)勾留

    逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された場合は、逮捕に続き、「勾留」される可能性があります。勾留とは原則10日間、最大20日間も留置所、もしくは拘置所に身柄を留め置かれる措置です。
    勾留されると、ある程度の期間は自宅に帰ることができず、会社や学校にも行けませんので、社会的な影響を受けることは免れないでしょう。
    一方、逃亡や罪証隠滅のおそれがないと判断された場合は、釈放され、その後は在宅で検察官の処分を待つことになります。

  3. (3)起訴

    勾留期間が終了、勾留されずに逮捕後釈放された場合は捜査が終了すると、検察が「起訴・不起訴」を判断します。

    ただし、重大な交通事故を伴わない飲酒運転の場合は起訴されても、正式な刑事裁判ではなく「略式起訴」になることが多い傾向にあります。略式起訴とは、犯罪事実を認めている場合に、刑罰(罰金刑)が言い渡されて終了する簡単な裁判のことです。重大な交通事故を起こさなければ、略式起訴になる可能性は高いでしょう。

    他方で、飲酒運転による交通事故を引き起こし、相手に重傷を負わせた場合は、正式な刑事裁判が開かれることになるでしょう。その場合は、被害者との示談を早急に完了させた上で、執行猶予付き判決を勝ち取れるよう、弁護人の弁護が必要になります。

4、飲酒運転での通常逮捕(後日逮捕)はあるのか?

飲酒運転によって事故を起こしてしまったような場合は、逃亡や証拠隠滅を防ぐため、逮捕される可能性があります。事故を起こしていない場合は、飲酒運転をしてしまったとしても、逮捕されない可能性は高いです。仮に、飲酒した後に運転している姿が録画されていたとしても、運転当時の体内のアルコール濃度を検査することはできず、嫌疑不十分と判断される可能性が高いからです。

5、まとめ

飲酒運転には重い罰則が設けられています。万一、飲酒運転で逮捕されれば、しばらく身柄を拘束され、社会生活にも影響を及ぼしえます。飲酒運転で逮捕されたら早急に弁護士に依頼して、身柄拘束や前科がつくことを回避するための弁護活動をスタートさせましょう。ベリーベスト法律事務所 立川オフィスへなるべく早くご連絡ください。飲酒運転の弁護実績が豊富な弁護士が、適切な弁護活動を行います。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています