子ども3人の養育費はいくら? 離婚前に決めておくべきポイントを解説!

2020年09月07日
  • 養育費
  • 養育費
  • 3人
  • 立川
子ども3人の養育費はいくら? 離婚前に決めておくべきポイントを解説!

子どもがいる夫婦が離婚する際には、養育費の問題が必ず浮上します。子どもが3人いるという状態での離婚は、非常に勇気がいることでしょう。

とにかく離婚したいと思われていたとしても、子どもの将来のことを考えると、離婚前に養育費について知っておく必要があります。そこで、本コラムでは、子どもが3人いる場合の養育費について、立川オフィスの弁護士が解説します。

1、養育費とは

養育費は、受け取る側・支払う側の性別は一切関係ありません。まずは、養育費とはどのようなものなのかを理解しておきましょう。

  1. (1)養育費の意味

    養育費とは、未成熟の子どもを育てるために必要となる費用のことです。したがって、そもそも子どもがいなければ、養育費は発生しません。
    子どもが健全に成長するためには、生活費以外にも、学費や医療費など、多くのお金が必要となります。親であれば、子どもを扶養する義務があり、健全に成長するための経済環境を支えなければなりません。子どもを育成する費用は本来夫婦が共同して負担するものです。

    夫婦が離婚したとしても、それぞれが子どもにとって親であることに変わりはありません。しかし、多くの場合、離婚後は別々に暮らすことになるため、子どもはどちらかと同居して育成されることになります。そこで、子どもの養育をしていない親が、養育をしている親に対して養育費としてその費用を支払うことになります。

  2. (2)養育費は義務?

    前述のとおり、親は、子どもに対して扶養義務を有しています。離婚したとしても親子であることは変わりませんから、扶養義務も消えません。したがって、養育費は、子どもと同居していない親が支払わなければならないものです。
    面会させてもらえない、親権を離婚した相手が持っているから払いたくない、などという主張は、大人側の都合と評価されてしまうため、これらの理由で支払いを拒むことはできません。
    もっとも、相手が再婚した、自分の生活に困窮するようになったなどの事情が生じた場合は、改めて養育費の額を取り決めることができます。状況によっては、後で減額を請求できることを知っておきましょう。

    なお、子どもの親権は同居する親が持つケースが一般的であり、離婚届を提出する際には親権をどちらにするのかを決定しておかなければ離婚できません。しかし、養育費の額は、決定していなくても離婚することができてしまいます。子どもの将来を心から思うのであれば、養育費の額を決定したうえで、離婚することをおすすめします。

2、養育費の金額の決め方

次に、養育費の金額がどうやって決められるのかについて解説していきます。

  1. (1)夫婦間の話し合いで決める

    夫婦間の話し合いで養育費の額をいくらにするか合意することができれば、原則として、その額になります。

  2. (2)家庭裁判所の調停や家事審判で決める

    話し合いで取り決めることができなかった場合は、裁判所へ調停や審判の申し立てをします。

    調停では、調停委員会に双方の話を聞いてもらいながら金額を決めていきます。しかし調停も話し合いであるため、強制的に決定されることはありません。調停中に合意に至らない場合は、家事審判に移行し、家事審判官が双方の事情を総合的に検討して、養育費について判断することになります。調停は数か月程度で終わるケースがほとんどですが、まれに1年前後続くこともあります。

  3. (3)離婚裁判で決める

    調停をしても合意できず、家事審判の決定に納得できないときは、訴訟を起こすことになります。離婚訴訟を提起した際に、養育費の金額を決めることも可能です。

    訴訟では、双方の主張や証拠などをもとに判決が下されます。途中で和解をすすめられることもあるでしょう。裁判になれば数年単位で時間がかかることになりますので、ある程度の覚悟が必要になるかもしれません。

3、養育費の算出方法

裁判所では、以下のような手順で養育費の支払額を決定していきます。

①基礎収入の算出
まず、夫婦それぞれの収入を源泉徴収票や課税証明書によって認定します。その後、所得税や住民税などの税金と社会保険料、必要経費、住居費や医療費のトータルを出して、すべての収入から差し引いて基礎収入を求めます。

②子どものために使える生活費を算出
算出した基礎収入を考慮して、子どものために使える生活費がいくらになるかを決定します。

③養育費の支払額を算出
最後に、養育費を支払う義務者と養育費を受け取る権利者との収入に応じて、それぞれの負担する金額を決定します。裁判所では養育費の金額を、「養育費の算定表」により算出することになるケースが一般的です。

4、子ども3人の養育費の計算

養育費を計算する際に重要なのは、夫婦の年収と子どもの人数です。特に年収が高いかどうかは養育費の金額に大きな影響を与えます。養育費を支払う親の年収が高いと養育費は高くなり、養育費を受け取る親の年収が高いと養育費は低くなります。

また、同じ年収だからといって、サラリーマンと自営業者の養育費を同じように算定するわけではありません。自営業者は確定申告の際に必要経費を控除して所得を算出しますが、サラリーマンは異なる計算で所得を算出するため、同じようには考えられないからです。

さらに、子どもの年齢が高くなると学費などかかる費用が大きくなってきます。特に15歳以上になると養育費も上がってきます。なお、子どもの人数が増えても養育費は上がりますが、単純な仕組みではありません。たとえば、子どもの数が3人のときに発生する養育費は、ひとりの場合の3倍にはならないのです。

人数以外にも子どもの年齢を考慮して算出されるので、個別のケースごとに養育費はまったく違った金額になります。

実際に養育費を算出してみたい方は、以下のサイトを利用してみてください。裁判所による 養育費の算定表を基準に養育費の目安がわかります。

5、養育費はいつまで支払う?

離婚後に養育費を支払う側になった場合、気になるのがいつまで支払う必要があるのかということでしょう。そこで、ここでは養育費の支払期間について解説していきます。

  1. (1)養育費を支払う必要のある子ども

    養育費を支払う必要のある子どもとは、自己の資産または労力で生活できる能力のない者です。
    自己の資産または労力で生活できる能力があるかどうかは、実質的に判断され、一律に年齢で決められるものではありません。
    もっとも、子どもが健康のまま20歳になれば、通常であれば、自力で生活することができるため、20歳になるまで養育費を支払うとするのが一般的です。

  2. (2)20歳を超えても養育費を支払う必要があるケース

    たとえば、子どもが大学へ進学する場合、卒業するまで養育費を支払い続けることはよくあります。場合によっては大学院を卒業するまでと取り決めるケースもあります。また、子どもが身体障害者で労働ができない場合、20歳を超えても養育費が必要になるでしょう。

6、まとめ

今回は養育費がどのようなものか、具体的な金額の算出方法などについても解説しました。

養育費は離婚前に夫婦間の話し合いで決めることが最善ですが、子どもが私立の学校に行ったりすると、高額な学費のせいでよく議論が紛糾します。こういった場合、算定表通りでは養育費を計算することができないため、弁護士に依頼することをおすすめします。
また、協議で養育費の額を決めた場合でも、強制執行認諾約款をつけた公正証書にしておくことを強くおすすめします。公正証書にしておくことで、相手側から過大な要求受けないよう身を守ることができるとともに、支払い義務を果たさない場合に裁判を通じなくとも強制執行をすることができます。

子どもがいて配偶者と離婚話を進めている方は、ベリーベスト法律事務所 立川オフィスまでお気軽にご連絡ください。離婚問題に対応した経験が豊富な弁護士が、ご自身と子どもの明るい将来のため全力でサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています