修復不可能な家庭内別居のケースとは? 立川の弁護士が解説
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立川市が公表している令和元年の統計年表によると、平成30年1月1日現在の立川市の世帯数は8万9838世帯でした。また、平成30年度の立川市での離婚件数は、423件でした。
このように市内において多くの世帯がある中、離婚に至る世帯も相当数あるのに対して、離婚には至っていないものの家庭内別居となってしまっている夫婦もあると思います。
家庭内別居からの修復に困難を感じ、離婚に踏み切りたいと考えている場合は何から始めればよいのでしょうか。家庭内別居をしている夫婦が知っておきたい法的なポイントをベリーベスト法律事務所 立川オフィスの弁護士が解説します。
1、家庭内別居となるきっかけは?
家庭内別居とは、結婚して同じ家に住んでいるにもかかわらず、家族としてのコミュニケーションを取らず、ほぼ別居しているも同然の状態を続けることを指します。
具体的には、同じ家にいても会話をしない、顔を合わせない、食事も寝室も別々、連絡事項はスマホで最低限というような夫婦のことです。
何がきっかけで、家庭内別居の状態となるかは、夫婦によってさまざまです。具体的には、不倫、不満の積み重ね、性格の不一致などが挙げられます。「理由は特にないけれど生理的に無理であった」「なんとなく」と言った意見もあります。
このように夫婦関係が希薄になる理由はさまざまですが、婚姻関係を解消しようと思っても「嫌いになった」と言うだけでは簡単に解消することはできません。そのため、本当は離婚をしたいけれど我慢をして家庭内別居を続けているという夫婦も少なくないでしょう。
2、家庭内別居の夫婦が修復不可能なケースとは?
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(1)繰り返し浮気をされている
根はまじめな人が、魔がさして一度だけの過ちを犯してしまったケースでは真摯に反省をして二度と繰り返さないということもあるかもしれません。
しかし、配偶者が根っからの浮気性である場合、浮気された側がどれだけ改善しようと努力しても徒労に終わることがあります。生まれつきの気質がなかなか改善できないように、浮気癖がある人を直すことは難しいです。
片方のみが感情を凍らせて続ける結婚生活は決して健全とは言えませんし、心身の健康状態や子育てにも悪影響を及ぼす危険性があります。「相手は今後代わることはない」とすっぱり割り切って、幸せな第二の人生を検討することもひとつの道です。 -
(2)ギャンブルなどの浪費癖が直らない
配偶者がパチンコ、スロット、競馬、競輪などギャンブルにのめり込んでしまい、家計に影響が出ることもあります。ギャンブル依存症であれば、精神疾患のひとつですので、改善するということは容易ではありません。
ギャンブル依存症と判断できる場合には、病院や専門機関での治療が必要になります。
しかし、配偶者が助けようとしても一向に本人が努力しようとしないのであれば、修復は難しいと言わざるをえません。 -
(3)相手が離婚をすると決めている
相手方が離婚をすると固く決意している場合には、修復不可能の可能性が高いです。離婚を決意した当事者はすでに離婚の準備をひっそりと進めているかもしれません。
離婚を阻止したい場合や離婚条件を少しでも有利にしたい場合には、相手が実際に行動に移す前に、弁護士に相談してみましょう。財産分与のための共同財産の洗い出し、親権を獲得するための前準備、慰謝料請求のための証拠収集などについて具体的なアドバイスをくれるでしょう。
3、話し合いで解決しない場合の対処方法
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(1)離婚カウンセラーへの相談
離婚カウンセラーとは、NPO法人日本家族問題相談連盟が認定している民間資格のひとつです。
離婚カウンセラーは、離婚問題に直面した夫婦の立場に立って、精神面からカウンセリングを行い、解決に向けてアドバイスをするとともに、必要な場合はその他の専門家の紹介をしてくれます。
家庭内別居で精神的につらい状況であれば、離婚カウンセラーに相談をしてみるとよいでしょう。 -
(2)弁護士へ相談
離婚を決断している方や離婚をするかどうか迷っている方は、弁護士に相談をすることをおすすめします。
離婚にあたっては、親権、養育費、慰謝料、財産分与、面会交流、年金分割など籍を抜くこと以外にも決めなければならない事項がたくさんあります。
家庭内別居中でほとんど会話のない夫婦が、これらの事項をすべて決めるというのはとても大変です。また、これらの事項については、法律面からの適切なサポートがなければ、不利な条件で離婚をしてしまうというリスクもあります。
まずは弁護士に相談をするとよいでしょう。 -
(3)別居をすること
家庭内別居をしていた夫婦の片方が家を出て本格的に別居を始めたことにより、膠着状態が進展するケースもあります。物理的距離を取ることによりお互いの大切さを実感したり、逆に新たな道を進む決意をすることが期待できます。
なお、親権を希望している場合は、別居の際に子どもを連れていくことが非常に重要となります。親権者を決定する際、監護期間が重要な考慮要素となり、離婚時に子どもを実際に長時間監護している側が有利となるからです。
4、家庭内別居の夫婦が離婚する際に知っておくべきこと
家庭内別居の夫婦が離婚について考えているのであれば、離婚を告げるのは事前に準備をしてからにしましょう。事前の準備なく離婚を告げるのは、相手が財産を隠したり、証拠隠滅をする恐れがあります。
具体的には、以下の準備をしておくとよいでしょう。
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(1)別居後の住まいの準備
家庭内別居であれば住まいは確保できていましたが、今後、離婚をして家を出ていくということになれば、新たな住まいを確保する必要があります。
近くに親が住んでいるときは、実家に一時的に戻るというのも手段になります。対して、実家が遠方という場合には、新たに住まいを探さなければなりません。新しい賃貸物件や友人の住まいを借りるという方がいらっしゃいます。
何の準備もなく離婚を告げてしまうと、明日からの住まいを確保できないリスクもありますので、別居後の住まいをきちんと確保してから離婚の意思を告げるようにしてください。 -
(2)別居後の収入の確保
別居後は家計が完全に別になるため、別居後、経済的に自立することができる収入を確保する必要があります。
別居後離婚前であれば、収入の少ない配偶者は収入の多い配偶者から婚姻費用を請求できます。配偶者が任意に支払わないという場合は、弁護士に依頼し、交渉または調停をすすめてください。
しかし婚姻費用も多額なものではなく、それだけでは生活することはできません。別居をするまで仕事をしていなかった方は、新たに仕事を見つけなければなりません。
すぐに就職先が見つかるとは限りませんので、離婚を考えたのであれば早めに行動するようにしましょう。 -
(3)相手の財産の調査
離婚にあたっては、財産分与によって婚姻期間中に夫婦が築いた財産を分けることになります
財産分与で適切な金額を請求するためには、お互いの財産を正確に洗い出す必要があります。ただ、相手の財産をすべて把握しているという方は、そこまで多くありません。
また、いざ交渉に及んだとしても、相手が財産に関する資料の開示を拒否したときには、正確な財産の内容を知ることができません。
そのため、相手の財産を調査しやすい同居中に、相手の財産に関する資料を集めておくことが望ましいです。
もし自宅に以下のような資料が保管されているのであれば、その写しを残しておくとよいでしょう。- 預貯金通帳
- 給与明細、源泉徴収票
- 不動産登記事項証明書
- 保険の証券
- 有価証券に関する資料
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(4)慰謝料請求するための証拠の準備
離婚にあたっては、離婚理由によっては有責性のある配偶者に対して慰謝料を請求することが可能です。
しかし、慰謝料を請求するためには、配偶者に有責性のあることを基礎づける証拠が必要となります。配偶者が有責性を認めて自発的に慰謝料を支払うのであれば証拠は不要ですが、そのようなケースは稀ですので、別居前に証拠を集めておくようにしましょう。
不貞を理由に慰謝料を請求するのであれば、不貞相手とのLINEや写真など、DVを理由に慰謝料を請求するのであれば、診断書やけがをしたときの写真などが考えられます。
どのような証拠が必要になるかは、事案によって異なってきますので、弁護士に相談してみるとよいでしょう。
5、まとめ
離婚にあたってどのような準備が必要になるか、離婚をするまでの流れについてはわからないことも多くあると思います。離婚後の再出発に向けた準備に専念するためにも、離婚に関する手続きは弁護士に相談するとよいでしょう。
離婚についてお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 立川オフィスまでお気軽にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています