手切れ金の相場は? 恋人や不倫相手に請求されたときの対応方法

2024年10月24日
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手切れ金の相場は? 恋人や不倫相手に請求されたときの対応方法

ニュースやドラマなどで不倫相手や恋人に対して別れを告げたら「手切れ金」を要求された…という話を見聞きします。立川近辺にお住まいの方が、そのような事態に陥ったときにはどのように対応したらよいのでしょうか。

本コラムでは、手切れ金の法的な根拠から、言われるがまま払わないほうが良い理由、相場や慰謝料との違いなどを知っていただくとともに、実際に請求された場合の対処方法についてベリーベスト法律事務所 立川オフィスの弁護士が解説します。


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1、不倫関係にある男女の和解金としての「手切れ金」

不倫関係にある男女の間で、不倫関係解消をする際に手切れ金を要求されることがあります。手切れ金とはどのような状況で支払われるものでしょうか。

不倫関係にある男女において、手切れ金が支払われる状況としては、以下の状況が考えられます。

  1. (1)配偶者に不倫を秘密にする対価としての手切れ金

    たとえば、男性側は既婚者で女性は独身の男女が不倫関係になった場合、不倫関係が男性の妻に発覚してしまうと、妻からの愛情や信頼関係は失われてしまい、慰謝料を請求されることや離婚となることもあります。不倫関係が妻に知られていない状況であれば、不倫相手に手切れ金を支払う代わりに不倫相手が妻に不倫関係にあった事実を話さないことを約束するということがあります。

  2. (2)お互いの気持ちの整理をするための手切れ金

    不倫関係にあることに対して後ろめたい気持ちがあるかもしれません。手切れ金という金銭を交付することによって、お互いの気持ちを整理することもあります。

  3. (3)後々のトラブルを防止するための手切れ金

    強引に不倫関係を解消すると、不倫相手からのつきまといや迷惑行為などを受ける可能性がありますので、不倫関係は円満に解消することがのぞましいです。話し合いだけで解決することができればよいのですが、手切れ金として金銭を交付することによって円満に解決をし、将来のトラブルを防止できることがあります。

2、手切れ金に相場や強制力はあるの? 慰謝料との違いは?

手切れ金については、上記のように不倫関係を解消するさまざまな場面で支払われることがありますが、どのような法的性質を有する金銭なのでしょうか。また、慰謝料と手切れ金は何が違うのでしょうか。以下では、これらについて説明します。

  1. (1)手切れ金を支払う法的義務はない

    手切れ金は、不倫関係や恋人関係を解消する際に、支払われる金銭ですが、法律上の定めのある金銭ではありません。そのため、不倫相手などから手切れ金を要求されたとしても、支払いに応じる義務はありませんので、支払いを拒否することもできます。あくまでも、手切れ金は、当事者の関係解消にあたって任意に支払われる金銭にすぎないのです。したがって、手切れ金には、慰謝料のような相場があるわけではなく、当事者が合意した金額が手切れ金の金額となります。

    ただし、当事者間で手切れ金を支払うことに合意したときには、手切れ金を支払うことに対して法的拘束力が生じることがありますので注意が必要です。その場を逃れるために安易に高額な手切れ金を約束してしまうと、後々その内容を争うことが難しくなりますので、慎重な対応が求められます。

  2. (2)手切れ金と慰謝料の違い

    手切れ金と似たような金銭として慰謝料というものがあります。慰謝料とは、違法な行為によって精神的苦痛を被った際に、精神的苦痛に対する賠償として支払われる金銭のことをいいます。

    手切れ金は、相手方が任意に支払いに応じることによって支払われるものであるのに対し、慰謝料は、相手方が請求に応じない場合に、強制的に支払わせることができる性質のものです

    たとえば、妻Aと婚姻関係にある夫Bが、女性Cと不倫関係にあるとします。この場合、女性Cは、妻Aの権利を違法に侵害していることになりますので、女性Cは、妻Aに対して不倫慰謝料の支払い義務を負うことになります。

  3. (3)慰謝料が発生することはあるのか?

    不倫相手に対し、慰謝料の支払い義務が発生することはあるのでしょうか。

    不倫関係にある当事者同士は、一般的に既婚者である異性と肉体関係を持つことを承知のうえで、不倫関係に陥っているといえます。そのため、不倫関係を継続したことによって、「結婚の機会を逃した」などの理由で精神的苦痛を被ったとしても、原則として慰謝料の支払い義務が生じることはありません。

    しかし、配偶者のある男性が、結婚していることを隠して女性と交際を続けたようなケースでは、女性の貞操権を違法に侵害しているといえます。そのため、このようなケースでは、慰謝料の支払い義務が生じることがあります

3、恋人から手切れ金を請求されても支払う義務はない

お互い独身同士の交際において、恋人から手切れ金を請求された場合、手切れ金は支払うべきでしょうか。

不倫関係の解消の項目でも説明したとおり、手切れ金は、任意に支払うものですので、恋人から手切れ金を請求されたとしても支払う義務はありません。

独身同士が健全な交際をすることは何ら違法なことではありませんので、その関係解消にあたって手切れ金の支払い義務が発生することは通常はありません

しかし、当事者の関係性や性格次第では、交際関係を解消することを拒絶し、ストーカー行為に発展することも考えられます。そのような事態が想定できるときには、円満な別れ方として、手切れ金を支払うことも有効な場合があります。

4、手切れ金を支払うことになった場合の注意点

話し合いの結果、任意で手切れ金を支払うことになった場合には、以下の点に注意が必要です。

  1. (1)手切れ金を支払うときには必ず書面を作成する

    不倫相手や恋人との面倒な関係を早く終わらせたいという理由で、相手から要求された手切れ金を現金で支払い、何も書面を作成していないと後々トラブルが生じる可能性があります。

    すでに手切れ金を支払っているにもかかわらず、「もらっていない」と言われることもありますし、約束した金額を支払ったにもかかわらず「まだ足りない」と言われて追加の手切れ金を請求されるおそれもあります。

    そのため、手切れ金を支払うことになった場合には、示談書や合意書などの書面を必ず作成し、手切れ金の金額や支払い条件などを明確にしておくようにしましょう

  2. (2)書面には口外禁止条項、接触禁止条項、清算条項を入れる

    書面を作成したとしても、法的に必要な文言が入っていないとトラブルを防ぐことができません。

    不倫関係にあったことを配偶者や職場に知られた場合には、離婚の危機に陥ることや社会的な信用を失うことになります。そのため、書面には、不倫関係にあったことを一切口外しないことを定めた口外禁止条項を入れておく必要があります

    また、恋人関係を解消する際にストーカー行為を心配するのであれば、今後一切の連絡や接触を禁止する内容の接触禁止条項を入れておくのが有効です

    口外禁止条項や接触禁止条項を入れた場合でも、合意成立後に条項に反して家族や職場に不倫関係について話す可能性やストーカーをされる可能性があります。そのため、口外禁止条項や接触禁止条項に違反することを防止するため、違反した場合のペナルティーも合意書の内容に入れておくとよいでしょう。

    さらに、今後の金銭の要求を避けるためにも、必ず清算条項を入れておくようにしましょう

  3. (3)手切れ金の支払いは一括払いとする

    手切れ金の金額によっては、一括払いが難しく分割払いになることもあるでしょう。しかし、分割払いとなると、手切れ金の支払いが完了するまで、相手との関係が継続することになってしまいます。関係解消をしたいために手切れ金を支払っているのに、再び関係を持つようになってしまっては本末転倒です。

    そのため、できる限り手切れ金は一括で支払うようにしましょう。

  4. (4)相手との交渉に不安があるときは弁護士に依頼する

    手切れ金は、法律上支払い義務のない金銭ですので、不倫相手や恋人から手切れ金を要求されたときには、弁護士に依頼をするとよいでしょう

    弁護士であれば、法的見地から手切れ金の支払い義務がないことを説得的に伝え、交渉することができます。弁護士が間に入って交渉をすることによって、感情的になって手切れ金を要求していた相手も冷静になり請求を取りやめるということも十分にあり得ます。

    また、仮に手切れ金を支払うことになったとしても、弁護士が法的に問題のない示談書や合意書を作成しますので、将来のトラブルを防止することにもつながります。

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5、まとめ

不倫相手や恋人から手切れ金を請求されたとしても、そもそも「手切れ金」は法的な支払い義務は一切ない金銭です。ただし、当事者の置かれている状況によっては、手切れ金を支払ったほうが円満に解決できることがありますので、適切に状況を見極めたうえで判断する必要があります。もし支払う場合においても、双方が納得できる金額に設定するケースが一般的です。相手が恋人であっても不倫相手であっても、相場というものはありません。

支払いを拒否したのに相手があきらめない場合など、不倫相手や恋人から手切れ金を要求されてお困りのときは、ベリーベスト法律事務所 立川オフィスまでお気軽にご相談ください。また、手切れ金を支払うことにした場合などにおいても、適切な書面を作成したほうがよいでしょう。離婚や男女問題についての知見が豊富な弁護士がアドバイスします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています