旦那が盗撮で逮捕!? 逮捕後の流れと妻にできることとは?

2018年12月18日
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旦那が盗撮で逮捕!? 逮捕後の流れと妻にできることとは?

近年は、スマートフォンなどの普及に伴って、盗撮事件も増えています。東京都立川市の多摩都市モノレール立川北駅で起こった、40代男性警部による盗撮がニュースになりました。

ある日、突然、警察から「あなたの旦那さんを盗撮容疑で逮捕した」という電話が来たら、妻が受けるショックは計り知れないものでしょう。動揺し、旦那に連絡をとりたいと思っても、逮捕されてから少なくとも72時間はそれができません。

しかし、たとえ連絡をとれない期間でも、家族にもできることがあります。ここでは、身内が盗撮容疑で逮捕されたときの逮捕後の流れと、家族ができることについて、立川オフィスの弁護士が解説していきます。

1、盗撮はどんな罪になるのか?

窃盗罪や傷害罪のように、明確に「盗撮罪」というものがあるわけではありません。盗撮行為は、その場所や対象によって、該当する罪が異なります。

  1. (1)迷惑防止条例違反

    迷惑防止条例は自治体ごとに制定されており、具体的な内容はそれぞれの自治体により異なります。冒頭の事件が起きた東京都の「迷惑防止条例」の場合、第5条2号で「住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」「公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物」での盗撮行為を禁止しています。

    また、実際に撮影しなくても、撮影する目的で機器を差し向けたり、設置したりすることも禁止されています。この条例に違反した場合、原則として、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます。

  2. (2)軽犯罪法違反

    盗撮は、状況によっては軽犯罪法違反になりえます。軽犯罪法では「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」(軽犯罪法第1条23号)が処罰の対象となります。

    ここでのポイントは、撮影の有無ではなく、「のぞく」行為そのものが対象になるということです。のぞき行為にあたる場合の刑罰は、「拘留または科料」です。「拘留(こうりゅう)」は、1日以上30日未満の間、身柄を拘束される処罰で、もっとも軽い刑罰ともいわれています。また、「科料(かりょう)」は、1000円以上1万円未満の罰金刑です。

  3. (3)その他

    迷惑防止条例違反や軽犯罪法違反と合わせて、盗撮目的で住居や建物に侵入した場合は、刑法の住居(建造物)侵入罪(3年以下の懲役または10万円以下の罰金)も成立し、刑罰はより重いものになります。

    また、被写体が18歳未満の児童だったケースでは、児童ポルノ法第7条5項に問われます。児童ポルノ法の正式名称は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」です。処罰は非常に重く、18歳未満の児童を盗撮した場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処されます。

2、盗撮で逮捕された旦那はこれからどうなるの?

では、逮捕された旦那は、そのあとどのような措置を受けるのでしょうか。逮捕後の流れを解説します。

  1. (1)警察での取り調べ(最大2日間)

    逮捕後は、事件に関して、警察での取り調べが行われます。旦那は罪を犯した疑いのある「被疑者」として、警察の取調べを受けます。このとき被疑者が警察に話したこと(供述)は「供述録取書」としてまとめられ、話した本人がサインをすることで「証拠」となります。ですから、供述は慎重にする必要がありますが、このとき被疑者と連絡がとり、適切なアドバイスをすることができるのは弁護士だけです。

    取り調べは逮捕後48時間以内に終了し、被疑者を釈放するか、検察に送致するかが決まります。厳重注意などだけで送致しない場合は、「微罪処分(びざいしょぶん)」として釈放されます。微罪処分となれば、盗撮の疑いで警察の取り調べを受けたという前歴は残りますが、前科はつきません。

  2. (2)送致(最大1日)

    検察では、送致された被疑者の身柄に関して、24時間以内に決定を行います。選択肢は「起訴する」、「釈放する」、「勾留して引き続き捜査する」の3つです。

    起訴された場合は刑事裁判を待つことになりますが、これは非常にごく稀です。釈放された場合は帰宅できますが、これもさほど多くはありません。釈放された後は在宅事件扱いとなり、引き続き捜査に協力する必要があります。勾留して引き続き捜査する場合は、次の項目でくわしく解説します。

    なお、逮捕されてから検察が決定を下すまでの72時間は、たとえ家族であっても連絡をとることはできません。

  3. (3)勾留(最大20日間)

    「勾留(こうりゅう)」は、被疑者(旦那)に対して、証拠の隠滅や逃亡のおそれがあるなどの理由から身柄の拘束が必要と判断されたとき、検察官の請求に基づいて裁判官がその旨の令状(勾留状)を発付して行うものです。

    具体的には、10日から最大20日間勾留され、取り調べを受けながら留置所で過ごすことになります。

  4. (4)起訴・不起訴の決定

    検察は逮捕後、23日以内に起訴するかを判断します。「不起訴」の場合は、刑罰を受けることもなく釈放されます。前科がつくことはありません。

    「起訴」とは、検察が裁判所に対して、被疑者を刑事裁判にかけることを申請するものです。起訴後は、呼び名が「被疑者」から「被告人(ひこくにん)」へ変わり、刑事裁判を待つことになります。

3、どうしたら旦那の状況をよくすることができるの?

逮捕されてからの3日間を過ぎると、10日から最大20日と、拘束期間が長くなることがわかります。なるべく早く対策をとる必要があるのはいうまでもありません。

逮捕から起訴までの流れのなかで、旦那の身柄が解放されるタイミングは4回あります。

  • 警察での取り調べ後、微罪処分で釈放される(48時間)
  • 検察への送致後、在宅事件扱いで釈放され、引き続き捜査に協力する(72時間)
  • 勾留中や在宅事件中に不起訴になる
  • 弁護士が捜査機関又は裁判所に身柄解放を申し入れ、これが認められる

逮捕されたあとに、前科がつく事態を回避できるタイミングは、逮捕後48時間以内に決まってしまう「微罪処分」と、「不起訴」の2種だけです。また、処罰すべきか検討する際、警察や検察は、被害者との示談が成立しているかどうかを非常に重視する傾向があります。

しかし、示談を成立させようにも、被害者の連絡先を警察から教えてもらうことはできません。逮捕されて72時間は、本人と連絡もとれないため、何をどう動けばよいのか適切に判断できる方はほとんど皆無といってよいでしょう。

そのようなとき、力になれるのが弁護士です。

たとえば、取り調べ中の旦那に面会し、供述内容のアドバイス等の相談にのるといった直接的なサポートだけでなく、警察・検察や裁判所に対し早期に身柄拘束を解くように働きかけるなど、さまざまな弁護活動を行うことができます。

また、弁護士が間に入ることで、被害者と連絡をとることが可能となり、示談交渉を進められるケースが多々あります。弁護士は、できるだけ早いタイミングで示談が成立するよう交渉を進めると同時に、「微罪処分」や「不起訴」獲得のために行動します。加害者による反省文を検察官に提出して再犯の可能性を否定する、家族による監督誓約書を提出するなど、可能な限りの手法を用いて弁護します。少しでも早く、逮捕された本人を自由の身にするためにも、逮捕を知ったら、すぐに弁護士へ相談することをおすすめします。

4、まとめ

旦那が盗撮容疑で逮捕されたときの逮捕後の流れと、妻がとるべき行動について解説しました。盗撮で問われる可能性がある罪は、状況によって異なりますが、逮捕後の流れはどのケースでも同じプロセスをたどることになります。特に逮捕後72時間は、弁護士以外との接見が制限されますので、適切な対応が難しくなります。できるだけ早いタイミングで弁護士を依頼したほうがよいでしょう。

旦那が逮捕されてどうしたらいいのかわからないときや、逮捕される可能性があるときは、ベリーベスト法律事務所 立川オフィスへ相談してください。立川オフィスの弁護士がご家族の気持ちに寄り添い、旦那への適切な弁護活動を行います。

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