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無断駐車への法的な対策は? トラブル回避のためにできること

2020年12月24日
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無断駐車への法的な対策は? トラブル回避のためにできること

車社会において、無断駐車に関するトラブルは後を絶ちません。それは立川においても同じことでしょう。

土地の所有者にとって無断駐車は理不尽なものですが、無断駐車への対応を誤ると、無断駐車をされている側の不法行為を問われてしまうこともあるのです。

そこで本コラムでは、無断駐車に関する法的な対処法について、ベリーベスト法律事務所 立川オフィスの弁護士が解説します。

1、無断駐車と違法駐車の違いとは?

無断駐車とは、その土地の所有者などから許可を得ていない場合をいい、月極駐車場で駐車料金を支払っていないなど、必要な手続を行わずに駐車をすることです。

よく似た言葉として「違法駐車」がありますが、違法駐車は、道路交通法第44条および第45条に規定されている駐車禁止の場所に駐車することです。

たとえば交差点や横断歩道、道路工事が行われている現場から5メートル以内の場所などが該当し、違法駐車には反則金や免許取り消しにつながり得る減点などの行政処分、さらには同法第119条の2に規定する15万円以下の罰金が科される可能性があります。

2、私有地への無断駐車は警察に通報すべきか?

もしも私有地に無断で駐車されていた場合、警察に通報することは可能なのでしょうか。実は、私有地に無断駐車をされていても、所有者にできることはかぎられています。

詳しく見ていきましょう。

  1. (1)私有地トラブルは民事扱いになる

    私有地における無断駐車などのトラブルは基本的に民事扱いとなります。そのため、民事不介入の観点から、警察に通報しレッカー移動や取り締まりなどを求めたとしても、積極的に動いてくれることはあまり期待できません。

    また、道路交通法は公道における駐車を規制しているため、私有地にはその効果が及ばないこともあります。

    したがって、無断駐車により迷惑を被っていたとしても、無断駐車をしている人に早急に立ち退くように求めるしかありません。

  2. (2)無断駐車が罪に問われるケース

    ただし、私有地における無断駐車であっても、無断駐車をしている人が刑法上の罪に問われるケースはあります。

    たとえば、私有地内または建造物内に設けている駐車スペースに無断駐車している場合、刑法130条前段に規定する「住居侵入罪」または「建造物侵入罪」が適用されます。

    もし無断駐車している人に対して退去するよう勧告してもそれに応じない場合、住居侵入罪・建造物侵入に加え同条後段に規定する「不退去罪」が適用される可能性があります。住居侵入罪および不退去罪に科される罰則は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。

    また、無断駐車が原因で、業務に用いているあなたの車が出庫できず、それにより業務に支障や損失が生じた場合は、刑法第234条に規定する「威力業務妨害罪」に該当する可能性があります。

    威力業務妨害罪が適用された場合、無断駐車をしている人に科される罰則は、刑法第233条の規定により3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

3、私道の共有者による無断駐車はどうすればよい?

公道ではなく私道の場合、近隣の住民どうしでその私道の用に供されている土地を共同で所有(共有)しているケースがよく見受けられます。では、この私道に共有者のひとりが日常的に無断駐車して他の共有者が迷惑しているようなトラブルの場合は、どうなるのでしょうか。

私道にかぎらず、土地の共有者は民法第249条の規定により、その持分に応じて共有する土地全体を使用する権利があります。しかし、ほかの共有者も持分に応じて同じ権利を有しているわけですから、ひとりの持分権利者が独占排他的に使用することはできません。

また、持分に相当する部分だからといって、土地の一部を独占排他的に使用することも不可能です。共有持分権は、共有物全体に及ぶ権利ですので、土地全体を利用することができますが、他の共有者の権利を侵害することは許されないので、金銭補填などが必要になるケースもあります。

このような共有の土地に関する使用方法は、民法第252条の規定により共有者の持分に応じて過半数の賛成をもって決めることになります。そして、決められた使用方法に違反する共有者がいる場合、他の共有者は違反行為の中止を請求することが可能です。

これは、私道の場合でも例外ではありません。私道の場合、道路としての用に供することが使用方法と推定されますから、一時駐車ならともかく駐車場代わりにすることは、道路としての使用目的には含まれないのです。

4、無断駐車への対応と注意点

無断駐車への対応はさまざまなものが考えられますが、やり方を間違えると無断駐車をされている側の不法行為になってしまいますので、対応には注意を要します。

  1. (1)自力救済は禁止

    私有地の所有者が無断駐車を自力で解決しようとすると、レッカー車による移動、タイヤロックの取り付け、穴を掘って車を動かせないようにするなどの方法が考えられるでしょう。

    このように、何らかの権利を侵害された人が、司法手続ではなく一般私人の実力によって侵害された権利を回復することを「自力救済」といいます。

    先ほど挙げた解決方法は、一見すると無断駐車をしている人が逃げられないようにするために有効な方法のように思えますが、自力救済は法律上の原則論として、一部の例外を除き禁止されています。自力救済を認めると、トラブルの事実関係にかかわらず、武力など実力行使ができる力を持つ方が有利になるため、法治国家ではこれを認めるべきでないからです。

    一定の場合には、自力救済が許されるケースもありますが、条件が厳しくよほどのことがない限り、適法となることはありません。

    そのため、私有地の所有者が自力救済をしてしまうと、無断駐車をしている人は、不法行為によって車が使えなかったこと等を理由に、逆に、私有地の所有者を訴えることができるようになってしまいます。

  2. (2)駐車禁止の表示をする

    たとえば、「無断駐車には金○万円を申し受けます」という表示を行い駐車禁止を呼びかける方法を考えてみましょう。

    表示をしたうえで、なおも無断駐車をしているのであれば、民法527条により、無断駐車をしている人は駐車料金○万円を支払うことに同意したうえで私有地の所有者と駐車契約をしたものとみなされる可能性があります。したがって、私有地の所有者は、無断駐車をした人から駐車料金として○万円を申し受ける権利が生じるのです。

    ただし、このときの金額は近隣の駐車料金などと比較して高すぎないように設定する必要があります。あまりにも高すぎる金額は暴利行為で公序良俗(民法90条)に反するものとして、無効になる可能性があるためです。

    なお、適正な価格は、鉄道の不正乗車や電気・ガスの不正受給に対する料金にならい、近隣の駐車料金の3倍以内とするのが一般的でしょう。

  3. (3)車に警告文を付ける

    しつこく無断駐車をする車には、車体に無断駐車をやめるように求める警告文を付ける方法も考えられます。

    この場合、強い接着性のあるテープや接着剤などで車体に警告文を貼ることは避けるべきです。無断駐車をした人が警告文を剥がすときに車体へテープや接着剤の跡が残ったり、塗装が剥げてしまったりした場合、車の所有者は警告文を張り付けた私有地の所有者を器物損壊罪で訴えることができてしまいます。

    このような事態を避けるために、車に警告文を付けるときはワイパーなどに挟んでおくなど、車体に影響が出ない方法にしてください。

  4. (4)感情的にならない

    私有地の所有者からすると、無断駐車は腹立たしいものです。しかし、無断駐車をしている張本人に出会ったとしても、決して感情的になってはいけません。

    たとえば、相手に身体的危害を加えるような脅し文句は、脅迫罪(刑法第222条)が成立しますし、相手の胸ぐらをつかんだり身体を押した場合はケガを負わせてなくても暴行罪(刑法第208条)が成立します。ケガが発生すれば傷害罪が成立する可能性もあります。こうなると、無断駐車により権利を侵害されていた人が刑法上の罰則を科されることになるのです。

    無断駐車をしている人がどんな態度に出ようと、感情的にならず冷静に無断駐車をやめるように求めるだけにとどめてください。

5、悪質な無断駐車に損害賠償を請求するには

一度や二度にとどまらず、何度注意しても無断駐車がなくならない、むしろ逆恨みをされて器物破損などの被害を受けた、という場合は、損害賠償請求を検討しましょう。

その方法をご紹介します。

  1. (1)車の所有者を特定する

    無断駐車をしている人に損害賠償を請求するためには、まず車の所有者を特定しなければなりません。私有地に無断駐車されている場合は、自動車検査登録事務所または各地の陸運支局に「登録事項等証明書」を請求することで、当該無断駐車の車を特定することができます。

    請求に必要な書類等は、以下のとおりです。

    • 請求書(請求の事由や無断駐車されている期間などを記載)
    • 手数料印紙
    • 請求者の本人確認書類
    • 無断駐車している車やナンバープレートの写真
  2. (2)内容証明を送付、応じなければ訴訟

    登録事項等証明書で無断駐車をしている人の住所・氏名が判明したら、損害賠償の支払いを求める内容証明郵便を送付します。それに応じない場合は支払い督促の申し立てをしたり、最初から損害賠償の支払いを求める訴訟を提起することになります。

    このように、実際に損害賠償請求に向けて行動を起こすときは、弁護士への相談がおすすめです。

    弁護士であれば職務に基づき登録事項等証明書の請求を行うこともできますし、内容証明書の作成、さらには訴訟手続についてもあなたの代理人として行うことができます。もちろん、訴訟等に至らなくても無断駐車をやめるように相手方と交渉することも可能です。

    弁護士は、それぞれの事案に応じた最善の方法で手続を進めていきます。

6、まとめ

私有地への無断駐車は、民事不介入の観点から、警察の介入が期待しにくいトラブルです。また、自分で無断駐車に対応しようとするときには、法律違反とならないよう、注意しなくてはなりません。

無断駐車にお悩みのときは、弁護士への依頼をおすすめします。ぜひ、ベリーベスト法律事務所 立川オフィスの弁護士までご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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