コンプライアンス違反が発生した場合の処分や罰則は?
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昨今、社内でコンプライアンス違反が発覚した場合、ブランドイメージの低下などにより、企業価値が毀損されてしまう大きなリスクが高まっています。
東京都立川市にも多くの事業所と従業員がおられますが、コンプライアンス違反に対する未然の予防策をきちんと講じるとともに、万が一の際には迅速かつ的確な対応ができるよう備えることは大切です。
今回は、社内でコンプライアンス違反が発生した場合のリスクや処分、コンプライアンス違反を防ぐための予防策などについて、ベリーベスト法律事務所 立川オフィスの弁護士が解説します。
参考:「統計年報~数字で見るたちかわ~2020(令和2)年版・第56号」(立川市役所)
1、コンプライアンスとは?
「コンプライアンス(compliance)」とは、一般的に、「法令等順守」ととらえられており、企業が法令などの社会規範を順守することを意味します。経営の公正性・透明性を確保する観点から、近年コンプライアンスの重要性がいっそう強調されるようになりました。
企業が順守すべき規範には、法律・条例などの法令のほか、社内規定や社会倫理規範なども含まれます。これらの規範全般を順守することが、コンプライアンスの意味するところです。
2、コンプライアンス違反による企業への不利益・処分・罰則
社内でコンプライアンス違反が発覚した場合、企業は以下の不利益等を被ってしまいます。
そのため企業には、可能な限り、コンプライアンス違反のリスクを回避する努力をすることが求められます。
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(1)ブランドイメージの低下・売上減少
コンプライアンス違反を犯した企業には、世間的にダーティーなイメージが付きまとい、ブランドイメージの低下につながります。
その結果、多くの顧客が商品・サービスの購入を控えることになり、売上・収益の減少を招く可能性が高いでしょう。 -
(2)取引先からの信用失墜|資金調達も困難に
コンプライアンスに関する社会の目が厳しい昨今では、コンプライアンス違反を犯した企業との取引そのものを差し控える企業が増えています。
既存の取引先から契約を打ち切られてしまえば、収支に大きな悪影響が出てしまうでしょう。また、金融機関から融資を断られるなど、資金調達が困難になることも懸念されます。 -
(3)採用活動への悪影響
就職・転職希望者の採用活動の観点からも、コンプライアンス違反の発覚は悪影響を及ぼすことが考えられます。
コンプライアンス違反を犯すような企業で働きたいと考える就職・転職希望者は少なく、採用応募を敬遠する傾向にあるからです。人材採用が困難になれば、企業としての将来的な成長が阻害されてしまうでしょう。 -
(4)多額の損害賠償リスク
自社のコンプライアンス違反によって取引が打ち切られ、取引先に損害が生じた場合、その損害を賠償しなければなりません。
また、消費者向けに販売する商品に関する問題が発覚した場合には、回収等に多大なコストを要します。
コンプライアンス違反による損害賠償等の金額は数千万円から数億円に及ぶケースもあり、会社に多大な損失をもたらすリスクがあります。 -
(5)業務停止などの行政処分
コンプライアンス違反が発覚した場合、監督官庁による行政処分や行政指導の対象となります。
悪質なケースについては業務停止処分が行われ、会社が一挙に倒産状態へ陥ってしまう可能性もあるので注意が必要です。 -
(6)経営陣に対する刑事罰
コンプライアンス違反が犯罪に当たる内容の場合、経営陣が逮捕・起訴され、刑事罰が科されるケースもあります。
粉飾決算や横領などは、経営陣が刑事罰の対象となるケースの典型例です。
さらに、経営陣が逮捕された場合、企業イメージの失墜は免れず、キーパーソン不在による業務の停滞も懸念されます。
3、従業員のコンプライアンス違反が発覚した場合の対応策
自社の従業員によるコンプライアンス違反が発覚した場合、以下の対応を迅速かつ的確に行い、事態の収拾に努めましょう。
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(1)正確な事実関係を調査する
コンプライアンス違反への適切な対応を行うためには、まず事実関係を正確に把握する必要があります。
関係者へのヒアリング、自社がアクセスできる資料の調査、捜査機関との協力などを通じて、正確な事実関係の把握に努めましょう。 -
(2)迅速に被害者対応を行う
コンプライアンス違反によって被害者が発生した場合には、被害者をケアするための迅速な対応が求められます。
被害者対応を疎かにしていると、報道機関へのリーク等によってレピュテーションが毀損されたり、訴訟を提起されたりする可能性があるからです。
被害者に対してはこまめに連絡を取り、損害賠償等に関する方針を早期に示すなど、タイムリーな被害者対応を心がけましょう。 -
(3)株主や取引先に情報を発信する
コンプライアンス違反の発生により、株主や取引先は不安な思いを抱いている可能性が高いです。
株主や取引先の不安を少しでも解消して信頼を維持するためにも、プレスリリースなどを通じて、コンプライアンス違反対応に関する情報をこまめに発信しましょう。 -
(4)必要に応じて監督官庁に報告する
業務停止などの厳しい行政処分を回避するためには、監督官庁とも情報共有を行い、監督官庁の指示に従って対応し、再発防止を図ることが大切です。
特に、法令上の報告義務が課されている場合には、コンプライアンス違反の事実を把握次第、速やかに監督官庁への報告を行いましょう。 -
(5)従業員に対する懲戒処分を行う
コンプライアンス違反を犯した従業員に対しては、違反行為の重大性・悪質性に対応した懲戒処分を検討しましょう。
<懲戒処分の種類>
① 戒告・けん責
口頭または文書で厳重注意を与える懲戒処分です。
始末書の提出を求める場合もあります。
② 減給
賃金を減額する懲戒処分です。
減給額は1回につき、1日当たりの平均賃金の半額以下、かつ月給の10分の1以下に限られます(労働基準法第91条)。
③ 出勤停止
一定期間出勤を禁止し、その間の賃金を支払わない懲戒処分です。
④ 降格
役職を降格させ、その後の役職手当を不支給・減額とする懲戒処分です。
⑤ 諭旨解雇
退職届の提出を勧告する懲戒処分です。
労働者が拒否した場合、懲戒解雇が行われるケースが多いです。
⑥ 懲戒解雇
労働者を強制的に退職させる懲戒処分です。
労働者に対する懲戒処分は、就業規則に規定された懲戒事由に基づいて行わなければなりません。
また、重すぎる懲戒処分は違法・無効となるので注意が必要です(労働契約法第15条、第16条)。実際に従業員の懲戒処分を行う場合は、事前に弁護士への相談をおすすめします。 -
(6)再発防止策を検討する
同様のコンプライアンス違反が二度と発生しないように、再発防止策を講じることも重要です。
弁護士などの専門家で構成される第三者委員会を設置し、客観的な視点から再発防止策を検討することが望ましいでしょう。
4、コンプライアンス違反を未然に防ぐための予防策
コンプライアンス違反を未然に防ぐためには、以下の内容を含む予防策を講じることが大切になります。
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(1)社内のチェック・監視体制を強化する
社内のチェック・監視体制がきちんとしていれば、コンプライアンス違反が発生するリスクを最小化できます。
現場担当者によるチェックに加えて、法務・経理などのバックオフィスを整備し、二重・三重のチェック体制を確立しましょう。 -
(2)従業員に対するコンプライアンス研修を実施する
コンプライアンスに関する意識を社内全体に浸透させるためには、従業員に対するコンプライアンス研修を実施することが効果的です。
弁護士などの外部講師に依頼して、定期的にコンプライアンス研修を実施することをおすすめします。 -
(3)経営陣が現場状況をきちんと把握する
会社の規模が大きくなればなるほど、経営陣の目は現場まで行き届きにくくなります。
その結果、経営陣の知らないところで、コンプライアンス違反が発生するリスクが高まるので注意が必要です。
経営陣は、現場責任者からの直通の相談を受け付けたり、不定期に現場を視察したりして、可能な限り現場状況の把握に努めましょう。 -
(4)危機管理マニュアルを整備する
万が一コンプライアンス違反が発生した場合に備えて、迅速かつ適切な対応ができるように、危機管理マニュアルを整備しておくことも大切です。
コンプライアンス違反に関する対応上の注意点は多岐にわたるため、危機管理マニュアルを作成する際には、弁護士に相談することをおすすめします。 -
(5)顧問弁護士によるチェックを受ける
コンプライアンス違反への万全の対策を整えるためには、顧問弁護士によるチェックが効果的に働きます。
会社の状況に応じて、どのようなコンプライアンス違反が懸念されるか、そのリスクを防ぐためにはどうすれば良いのかなど、法律家としての視点から具体的なアドバイスを受けられるからです。
また、外部者である弁護士の客観的な視点を取り入れることで、自社の抱える問題点をフェアに分析することができます。ベリーベスト法律事務所では月額3980円からの顧問弁護士サービス「リーガルプロテクト」をご用意しています。コンプライアンス違反の予防策をご検討中の経営者の方は、まずはお気軽にご相談ください。
5、まとめ
社内におけるコンプライアンス違反が発覚した場合、企業イメージの低下や行政処分・刑事罰など、企業経営にとって多大なダメージが発生するリスクがあります。コンプライアンス違反を懸念する経営陣は、必要に応じて弁護士にご相談のうえ、適切な予防策・対応策を講じましょう。
ベリーベスト法律事務所 立川オフィスでは、コンプライアンス対策を含む企業法務全般のご相談を受け付けております。
自社のコンプライアンス体制を強化したいお考えの方、その他日常的な法律相談ができる弁護士をお探しの経営者の方は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所 立川オフィスにご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています