生活音が原因で騒音トラブルに発展! 騒音の法的な責任やトラブル時の相談先
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新型コロナウイルスの流行によって在宅時間が増えたことで、近隣住民との騒音トラブルが相次いでいます。
令和2年3月・4月に警視庁が受理した騒音トラブルに関する110番通報の件数は前年比で3割増しとなりました。なかには「子どもの足音や声がうるさかった」として殺人事件にまで発展したケースも報道されています。
さて、立川市では、ホームページで生活騒音に関する情報を公開しています。そのなかでは「多くの人が、時には被害者に、時には加害者になりえる」として日ごろから配慮する必要があると説明していますが、生活騒音のすべてを防げるわけではありません。
もし、あなたの家庭から発する生活騒音が原因で近隣の住民とトラブルに発展したとすれば、あなたに法的な責任は生じるのでしょうか?
このコラムでは「生活騒音」によるトラブルが発生した場合に生じる責任や相談先について、ベリーベスト法律事務所 立川オフィスの弁護士が解説します。
1、騒音トラブルの原因5つ
住人同士の騒音トラブルは、主に「生活騒音」が原因です。また、マンションなど共同住宅では、建物の構造上の問題がトラブルの原因となっている場合もあります。
まずは具体的に、騒音トラブルになりやすい音やその原因について見ていきましょう。
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(1)生活行動に伴う音
室内を歩く、ドアを開閉する、家族と会話するといった日常生活での行動は、音を発生させます。
小さな子どもが走り回る音や笑い声・泣き声も、周囲の住民からは騒音ととらえられる場合があります。 -
(2)家電製品や設備による音
冷蔵庫や洗濯機などの家電製品は、床面に設置しているため使用時に振動音がします。
掃除機を使うときには動作音のほかにもノズルが床にあたる音が生じるので、周囲からは騒音ととらえられる可能性があります。
また、水道の蛇口を開け閉めしたときに水道管が鳴り響く「ウォーターハンマー現象」や、トイレ・風呂の排水など、注意していても抑えることができない設備上の問題による音も騒音になります。 -
(3)オーディオや楽器の音
テレビやオーディオ機器から発する音、ピアノなど楽器の演奏音は、室内にいれば心地よくても周囲の住民にとっては騒音となります。
特に、楽器の音は一戸建て住宅でも騒音として問題になりやすいです。防音設備がない住宅で楽器を演奏することには注意が必要です。 -
(4)自動車・バイク・ペットなどによる音
自動車やバイクの空ぶかしや運転前の暖気は、車種や排気量によっては大きな音を立てることになり、周辺住民に不快感を与えます。
犬や猫のようなペットの鳴き声・走り回る音も騒音の原因になります。 -
(5)構造上の問題
マンションやアパートは、部屋ごとに区切られてはいますが、広くみれば、ひとつのフロアで天井・床のすべてがつながっています。
さらに、天井裏・床下には配管が走っています。
音はこれらの天井、床、配管をたどって隣室へ伝わるので、騒音は直上・直下・真隣の部屋だけでなく、つながっているすべての部屋へと伝播してしまいます。
そのため、隣り合う部屋以外へも騒音としてとらえられる可能性があります。
2、騒音を起こした場合の法的な責任
生活騒音は、一定の限度ではマナー違反として片付く問題です。ところが、騒音の程度によっては、法的な責任を問われる事態にも発展するおそれがあります。
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(1)刑事的な責任
騒音という言葉が名前につく法律としては「騒音規制法」が存在します。しかし、これは工場や事業場、または建設工事から生じる騒音に対する規制と、自動車騒音の許容限度を定めた法律です。つまり、生活騒音を規制するものではありません。
生活騒音を規制する法律としては、軽犯罪法の第1条14号が挙げられます。
軽犯罪法第1条14号は「公務員の制止をきかずに、人声・楽器・ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた」場合に適用される条文です。
軽犯罪法第1条14号に違反すると「拘留または科料」の刑罰が科せられます。拘留とは1か月未満の刑事施設における身柄拘束であり、科料とは1万円未満の金銭徴収です。両方とも、比較的軽い刑罰ではありますが前科が付くことに変わりはないため、決して軽視できません。 -
(2)民事的な責任
騒音が「受忍限度」を超えており、かつ騒音が原因で周辺住民に健康被害が発生した場合には、民法第709条・710条に基づいて損害賠償責任を負う可能性があります。
受忍限度とは、簡単にいえば「我慢の範囲内かどうか」を意味する言葉です。音量だけでなく、周囲の環境や騒音を発生させた時間帯など、個別の具体的な事情を考慮して総合的に判断されます。
3、騒音問題で近隣住民とトラブル発生!注意したいポイント
近隣の住民と騒音を理由としてトラブルに発展してしまった場合は、状況を改善しないまま放置してはいけません。そこで、騒音問題で近隣住民とトラブルになったときに注意したいポイントを解説します。
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(1)改善しないと退去を迫られるおそれがある
賃貸のマンション・アパートであれば、騒音の原因を解消するなど、状況を改善しないと、家主や管理会社から退去を求められるおそれがあります。
これを避けるためには、家電製品の下に吸音材を敷く、夜間・深夜の生活音を抑えるなどの努力をする必要があります、 -
(2)まずは近隣への謝罪が大切
あなたの住まいから生じた生活音が近隣住民にとって騒音となっている場合、まずは近隣住民に対して謝罪をしましょう。
「わが家でなにをしようが自由だ」「こちらも家賃を支払っているのだから、文句をいわれる筋合いがない」と反論をしていると、近隣住民との関係はより悪化してしまいます。
騒音が発生するたびに警察官を呼ばれてしまう、我慢の限界を超えてしまった近隣住民から暴行を受けるといった事態になれば、今住んでいる住居に住み続けるのも難しくなってしまいます。 -
(3)過度な要求のすべてに応じる必要はない
騒音を生じさせてしまったことについては素直に謝罪して改善を試みるべきです。しかし社会通念に照らせば、ある程度の生活騒音はお互いが受任しあうものだといえます。
「一切の物音を立てるな」といった無理な要求や「法外な迷惑料を支払え」といった恐喝まがいの要求に応える必要はありません。
相手の要求が行き過ぎた要求ではないかと感じた場合には、当事者間だけで話し合っても解決しないでしょう。公平な立場の第三者を間に話し合うことが賢明です。
4、騒音トラブルに発展した場合の相談先
周辺の住民と騒音トラブルに発展してしまった場合、誰に相談することができるでしょうか?
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(1)管理会社や管理組合
マンション・アパートなどの共同住宅であれば、まずは建物の管理会社や管理組合への相談をおすすめします。
建物の特性や住民同士の関係性を深く知っているうえに公平な立場で話し合いができるので、騒音トラブルの相談先としては適任です。
建物の設備や構造上の問題であれば、管理会社や管理組合を通じてオーナーに工事の必要性を訴えることで、根本的な解決も期待できます。 -
(2)警察
相手から過度な要求を受けたら、警察への相談も検討するべきです。相手の不満がエスカレートすると騒音トラブルを原因とした暴力事件などに発展する危険がないともいえません。
事前に警察署を訪ねて相談しておけば、突然のトラブルで110番通報をしてもスムーズな対応が期待できます。 -
(3)弁護士
騒音トラブルを法的に解決したいのであれば、相談先として弁護士も挙げられます。
過去に争われた騒音トラブルの違法性を参考に、あなたの家庭から発する音が、法的に周辺住民にとって騒音にあたるのかを検証することができます。
またあなたが刑事責任・民事責任を負うべき立場にあるのか、過度な要求に対してどのように対処すべきかの法的なアドバイスも得られるでしょう。刑事事件に発展してしまった場合には、その後の警察への対応を一任することができます。
騒音トラブルを原因として「事件になって警察から取り調べを受けた」「相手に訴えられた」などの場合には、直ちに弁護士へ相談することをおすすめします。
5、まとめ
人が生活する以上は、必ず「音」が発生します。
ある程度の生活音はお互いに許容するべきですが、生活音を「騒音だ」と決める明確な基準はないため、共同住宅や住宅密集地域では大きな問題に発展することもあるでしょう。
もし、周辺住民との騒音トラブルでお困りであれば、ベリーベスト法律事務所 立川オフィスにご相談ください。騒音問題について詳しい知識を豊富にもつ弁護士が、トラブル解決に向けて全力でサポートします。
まだ具体的なトラブルに発展していない段階でも、あなたの家庭から発する生活音が騒音に該当するのか、周辺住民からのクレームにはどのように対処するのがベストなのかのアドバイスも可能です。周辺住民との交渉では、弁護士が代理人となれば誠実かつ毅然と対応できるので、過度な要求を受け入れることなく早期にトラブル解決が期待できます。
周辺住民との騒音トラブルの解決は、ベリーベスト法律事務所 立川オフィスにお任せください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています