立ち退きを求められたそのとき! 弁護士に相談すべき3つの理由
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土地や建物からの立ち退きを地主・賃貸人(以下「所有者等」といいます)から求められた場合、所有者等の主張を鵜呑みにするのは厳禁です。借地借家法では、所有者等の側から、契約の更新を拒否する場合は、正当事由が必要であるとしています(借地契約では、建物を建てることを目的とする場合です)。
つまり、所有者等は、土地賃貸借契約の契約期間が満了した場合でも「正当な理由」がなければ契約の更新を拒否して、立ち退きを求めることができません。立ち退きを余儀なくされる借地権者・賃借人に対して一定の金銭的補償をしなければ、「正当な理由」を認めないとするのが多くの判例です。
このようなルールがあるため、所有者等から、「正当な理由」があるとして立退きを求めるためには、借地権者・賃借人に対する金銭的補償(立退料)の支払が必要になってくるのです。
借地権者・賃借人としては、立ち退き請求を受けたら必ず一度持ち帰り、弁護士に相談しながら対応を検討しましょう。立ち退き請求を受けた場合の対処法や、弁護士に相談すべき理由などについて、ベリーベスト法律事務所 立川オフィスの弁護士が解説します。
1、立ち退きを求められたときにすべきこと・してはいけないこと
土地・建物からの立ち退きを求められた場合、条件を書面で提示するよう求めたうえで、必ず持ち帰って検討を行いましょう。
決してその場で立ち退き合意書に調印したり、相手の要求をそのまま受け入れたりしてはいけません。
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(1)OK例 ①|立ち退き条件を書面で提示してもらう
立ち退きを求める所有者等は、立ち退きの時期・立退料などの条件を口頭で伝えてくるケースがあります。
しかし、口頭での条件提示は、後に当事者間で認識の齟齬(そご)が発生する可能性が高く、トラブルの原因になります。そのため、立ち退き条件は必ず書面で提示してもらいましょう。 -
(2)OK例 ②|持ち帰って弁護士に相談する
相手から書面による条件提示を受けたら、その内容を持ち帰って冷静に検討することが大切です。
後述するように、立ち退きには借地借家法上の問題があるため、弁護士にアドバイスを求めたうえで対応を検討することをお勧めいたします。 -
(3)NG例 ①|その場で立ち退き合意書に調印する
所有者等から立ち退き合意書の案文を提示され、その場で調印することを求められるかもしれません。
しかし、所有者等に言われるがまま調印しては絶対にいけません。いったん合意が成立すると、適正な立退料も獲得できないまま、土地・建物からの立ち退きを強いられる可能性が高いからです。
立ち退き合意書の案文を提示されても、その場での調印は拒否し、必ず持ち帰って内容を検討してください。 -
(4)NG例 ②|相手の要求を真に受ける
所有者等は、借地権者・賃借人側の落ち度を指摘したり、不当に低額な立退料を提示したりするなど、一方的な要求を行ってくるかもしれません。
しかし、所有者等の要求に法的な正当性があるとは限りません。自己に有利な条件で立ち退きを実現するために、理不尽な提案をしてくるケースも非常に多いです。
そのため、所有者等の要求を真に受けることなく、冷静に法的な観点から検討を行うことが大切になります。
2、立ち退きを求められたら早く弁護士に相談すべき理由
所有者等による土地・建物からの立ち退き要求を受けた場合、以下の理由から早期に弁護士へご相談をお勧めいたします。
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(1)借地借家法の検討が必要|法的アドバイスが役立つ
借地借家法では、借地権者・賃借人の権利を強力に保護しています。たとえ契約期間が満了するタイミングであっても、借地借家法によって契約更新を拒絶できるケースは狭く限定されています。
そのため、所有者等から立ち退き請求を受けた場合には、借地借家法の保護を受けられるかどうか法的に検討することが必要です。
弁護士は、具体的な事情に借地借家法を適用し、法的に妥当な落としどころについてアドバイスいたします。
物件からの立ち退きを受け入れるかどうか、立ち退くとしても立退料をどの程度請求するかを判断する際に、弁護士のアドバイスが役立ちます。 -
(2)立退料などの交渉を一任できる
所有者等との立ち退きに関する交渉を、借地権者・賃借人が自分で行うのは非常に大変です。所有者等の一方的な要求に惑わされてしまうリスクもあるため、自力での交渉はあまりお勧めできません。
弁護士は、借地権者・賃借人の代理人として、所有者等との交渉を全面的にお引き受けいたします。
交渉に伴う労力や精神的な負担を軽減しつつ、法的に筋の通った主張を行うことで、借地権者・賃借人側に有利な条件を引き出せる可能性が高まります。 -
(3)弁護士以外による立ち退き交渉の代理は違法
不動産業者や不動産コンサルタントを名乗る業者が、借地権者・賃借人の代わりに立ち退き交渉を行う旨を提案してくるケースがあるようです。
しかし、弁護士以外の者が立ち退き交渉を代理することは、弁護士法第72条に違反する非弁行為であり、違法です。
非弁行為を働く業者に立ち退き交渉を任せてしまうと、違法行為に加担するばかりでなく、借地権者・賃借人にとって不利な条件で立ち退きを強いられてしまう可能性があります。
そのため、立ち退き交渉の代理は必ず弁護士へご依頼ください。
3、立ち退き請求は拒否できる可能性大
所有者等による土地・建物からの立ち退き請求は、正当な理由がなく、拒否できる場合が多くあります。
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(1)契約期間中の立ち退き請求は原則不可
借地契約・建物賃貸借契約の契約期間が残っている場合、期間途中で立ち退きに応じる必要は全くありません。
債務不履行解除の要件を満たす場合を除けば、所有者側が契約を一方的に終了させることはできないからです。
契約の合意解約に応じることは考えられますが、その場合には相応の立退料を請求すべきでしょう。 -
(2)更新拒絶の場合の立ち退き請求には「正当の事由」が必要
改めて説明しますが、契約期間満了のタイミングにおいて、所有者等から借地契約・建物賃貸借契約の更新を拒絶するには「正当な事由」が必要です(借地借家法第6条、第28条)。
更新拒絶の正当な事由があるかどうかを判断する際には、以下の要素が考慮されます。- ① 当事者双方が物件の使用を必要とする事情
- ② 契約に関する従前の経過
- ③ 物件の利用状況
- ④ 物件の現況
- ⑤ 立退料
実務上、所有者等による立ち退き請求が認められるのは、所有者が物件を使用する必要性が借地権者・賃借人を上回っており、かつ適正額の立退料が支払われた場合にほぼ限られています。
立退料の適正額はケース・バイ・ケースですが、土地であれば借地権価格と同程度、建物であれば賃料の数年分という高額が認められることもあります。
もし所有者等から期間満了による契約更新拒絶を主張された場合、適正な立退料の支払いと引き換えでなければ立ち退かないと反論するのがよいでしょう。
4、立退料を請求できないケースに要注意
以下のいずれかに該当する場合には、借地権者・賃借人が所有者等に対して立退料を請求できません。
想定外に立退料を請求できない事態にならないように、注意深く対応を行ってください。
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(1)立退料を受け取らないことに合意した場合
借地契約・建物賃貸借契約の解約について合意が成立すると、合意に従った条件で物件から立ち退かなければなりません。
もし立退料をゼロとする旨の合意が成立していれば、原則として立退料を請求できなくなってしまうので要注意です。
ただし、所有者等にだまされたり、脅されたりして解約に同意した場合には、解約の意思表示を取り消すことができます(民法第96条第1項)。不本意な形で解約に同意してしまった場合には、お早めに弁護士までご相談ください。 -
(2)契約を債務不履行解除された場合
借地権者・賃借人が、賃料滞納無断転貸など契約上の義務に違反した場合、所有者等は債務不履行に基づき、借地契約・建物賃貸借契約を解除できます。
契約を債務不履行解除された場合、契約の終了に関して借地借家法に基づく保護を受けることができず、立退料の支払いを受けられなくなってしまうので注意が必要です。
ただし、よく検討すれば債務不履行解除の要件を満たしていないケースも多いので、所有者から債務不履行解除を主張された場合は、一度弁護士までご相談ください。 -
(3)定期借地契約・定期建物賃貸借契約の期間が満了した場合
「定期借地契約」「定期建物賃貸借契約」とは、契約の更新がない借地契約・建物賃貸借契約です(借地借家法第22条、第38条)。
定期借地契約・定期建物賃貸借契約は更新がないため、借地借家法上の「正当の事由」に関する保護規定が適用されず、期間満了に伴って契約は終了します。
その際、所有者の借地権者・賃借人に対する立退料の支払い義務も発生しません。
定期借地・定期建物賃貸借として契約を締結すると、基本的に後からその内容を覆すことはできません。そのため、土地や建物を借りる前の段階で、契約内容をよくご確認ください。
契約書の読み方が分からない場合には、弁護士へのご相談をおすすめいたします。
5、まとめ
所有者から土地・建物の明渡し(立ち退き)を求められた場合、所有者側の要求を鵜呑みにして合意書に調印してはいけません。
立ち退き要求を拒否できることも多く、高額の立退料を請求できる可能性もありますので、必ず一度持ち帰って、弁護士のアドバイスを受けることをおすすめいたします。
ベリーベスト法律事務所は、不動産トラブルに関する法律相談を随時受け付けております。
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